移住者の島デビュー 

                   

瀬名波婦人会    

「油井さ〜ん元気?」公民館の職員さんの声。

「最近公民館に来ていないから〜」と声掛けしてくれました。あ〜ここ瀬名波に居れば孤独死や野垂れ死になどしないだろうなぁ〜っと実感しました。

 移住して来た頃も婦人会の人達に「もし宿で食べていけない時は、公民館に来ればいいさぁ〜。天ぷらや野菜があるから。」と言われ、独りで宿を切り盛りしていた私は百万の味方を得た気分。そんな心温まる言葉でした。それからあっという間に2年、今は瀬名波ちゅう(人)って他の字の人には言えるようになりました。

 沖縄に移住する前はIT業界webデザイナーやwebプロデューサー、銀行の営業マンなど競争社会の中で勝ち組みにならなければ」というストレスと戦いながらの人生。

しかし年齢、体力、気力の無理が重なり心身共に調子を壊す結果となってしまいました。弱かった股関節が悪化し、手術をしなければ歩けない状態に陥り、右、左各2カ月ずつの入院。退院後の通勤は世界でも有数のラッシュ地帯。松葉杖で2カ月余りの通勤でした。危険な電車の中、倒れてしまいそうな時転んでしまった時助けてくれたのは、なぜか不思議と女性ばかりでした。座席を譲ってくれたのも女性でした。沢山の方々に感謝しています。

手術後も寒くて辛い内地の冬は激痛に襲われる事が多く、鬱々とした毎日でした。

そのような出来事が移住のきっかけでした。

沖縄で宿を始めようと思ったのは、都会で助けてくれた女性達も、私と同じように疲れているのではないか、ならば、この大自然に囲まれた沖縄の読谷で、感謝の気持ちを込めた女性の為の駆け込み寺を作ろうと云う思いからでした。


 最初は「宿という商売をこの読谷村の瀬名波で始めた以上、地域貢献くらいはしなきゃ」という名目で婦人会活動に軽い気持ちで参加したつもりが、逆にウチナンチュウの生き方、考え方、人との触れ合い方を沢山教えてもらいました。キャリアを磨く事が一番大切な事と突っ走ってきた私にとって、目から鱗が落ちるがごとく、心の鱗までもが、すっかり剥がれ落ちる思いでした。

移住にはもう一つのきっかけがあります。エコ的生活、ロハスな生活が憧れでした。昨今問題になっている地球温暖化や環境破壊、希少動物の絶滅などの大きな社会問題に対し、私なりに問題意識を持っていましたが「私独りで何が出来るのだろう」、「でも何か役に立たねば」と云う思いだった所。ここ瀬名波婦人会が正にエコ活動のお手本であり、リアルロハスの集団だったのです。

作物を育て食す事。夏の暑い日も守り育て続ける花壇。実際のエコ活動は地道で辛い作業ばかりだけど、そこから溢れ出る自然や人への思いやりの心がとても素敵だと感動しました。

もう一つのエコ活動がビーチクリーンです。趣味でシーグラスを使ったアクセサリーやランプ作りをしています。シーグラスは私にとって海の宝石、贈り物です。「そうだ!海からの恵みをいただくお礼に、海岸に上がったゴミを拾おう」ある時、ふと思いついたのです。

きっかけはテレビでビニールを食べたウミガメが瀕死状態で苦しんでいる様子や、釣り糸が野鳥の足やクチバシに絡んで苦しんでいる姿を見た事です。

動物たちは何も文句は言いません。じっと耐えています。そんな寛大で偉大な自然をおびやかす人間のエゴに対して、自分に出来る小さな事から始めようと思ったのです。

初めは独りでしたが、浜に行っているうちに、沢山の人達と友達になりビーチクリーンでつながりました。又、宿にお泊りのお客様も一緒に行きます。

きっと「飛行機代かけてゴミ拾いなんて何でかねぇ〜」とお思いでしょう。でもみんなの姿を見ていると、本当はエコ活動の大切さを感じているのだと思いました。ただ「何をしたら良いのか、独りでは何も出来ない」と、みんな思っているのです。そこで、この残された美しい沖縄の海を少しでも守る為、できる事から始めようと、皆で一緒に掃除しているのです。

海は偉大で「掃除をした人の心を浄化してくれる」と云う思わぬ発見もありました。ゴミ拾いの後、みんな「心が洗われた様だ」と一緒に喜んでいるのです。

私の宿は「女性専用癒しの宿 みるく家」といいます。お客様のほとんどは内地で働くキャリアウーマンです。ストレス社会の中で戦って疲れた女性達が、癒しを求めてやってきます。

 私の出来る事は、この沖縄の太陽と海と広い空を紹介する事です。大切な名脇役の紹介も欠かせません。それは小鳥達のさえずりです。

CDで流れる鳥のBGMと、自然の小鳥達の違いにお気付きですか?


小鳥は喧嘩もするし機嫌が良い時も悪い時もあり、まさにそこで生活し生きているのです。また「ほーほけきょ」と鳴く鶯も最初は「けきょ、けけきょ」と未熟な鳴き方をしています。夕方遅くまで一生懸命努力する姿、上手になっていく成長過程が垣間見られ、私にとっては素晴らしい発見であり励みでした。この何気ない鳥のさえずりも大切な自然。エコであり人間の癒しにつながるものだと実感しました。

最後に、私が素晴らしいと感動した事があります。昨年より100年に一度の世界不況と言われる中、沖縄の人々の明るい笑顔と豊かな心です。

経済には関係なく作物は実り、花は咲き、沖縄の人々は心を一つにしているかの様に、笑顔で暖かい心(チムグクル)を育んでいます。こんな素晴らしい島に住む事が出来て本当に幸せです。

今後も島ナイチャーとして沢山の発見をしながら、沖縄の精神を学び、皆と仲良く暮らしていきたい。また、その精神を、疲れきったかつての私と同じ人達に伝え、ちょっとでもこの幸せのお裾分けをしたい。

微力ではありますが、エコ活動を始め、地域貢献をする事、踊りや文化、歴史の勉強ももっともっとしていきたいと思っています。